派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、他の企業に派遣される社員のことです。
社員とは言いますが、常用されている社員ではなく、雇用期間が定められています。
雇用期間が終わると雇用契約が終了します。
更新されれば、再び同じ企業で働くことができますが、いつしか契約が終了されれば、職を失います。
企業にとっては、必要な時に必要な労働力が得られ、直接雇用するよりも人件費が安く抑えられるというメリットがあります。
では、その一方で、派遣社員として働く人には、どんなメリットや、デメリットがあるのでしょうか。
派遣社員はデメリットしかない、やめたほうがいいと言われる理由
それでは、まず、「派遣社員はデメリットしかない」「派遣はやめたほうがいい」と言われる理由について見てみましょう。
雇用の不安定
やはり、派遣社員の一番のデメリットは、雇用が不安定であるということでしょう。
派遣社員の契約は、概ね、3ヶ月ごとに更新されます。
ということは、3ヶ月先の雇用状況がどのようになるのかは、見通しがつきません。
真面目に、一生懸命勤めていても、派遣先企業の経営状況によっては、契約を打ち切られてしまうこともあります。
収入が不安定
派遣社員の多くは、日給月給です。
そのため、一般事務系の仕事に多いような平日のみの勤務の場合、祝祭日が多い月には収入が減ります。
また、基本的には、ボーナスが無いことも多く、交通費が支給されない場合もあります。
責任のある仕事が少ない
派遣社員は、雇用契約で定められた業務のみを行います。
日常業務で、決定権のない仕事が多く、責任やプレッシャーを感じずに働ける反面、誰にでもできる仕事が業務の大半で、モチベーションを保つのが難しい場合もあります。
社会的に不安定な立場
派遣社員は雇用契約の見通しが立たず、さらに派遣先企業の業績が芳しくない時に、真っ先に削減される存在です。
社会保険などの福利厚生はきちんとしていますが、収入面でも安定せず、契約が切られると無職になるため、社会的には「不安定」とされます。
金融機関の融資審査に通過するのが難しくなったり、場合によっては、結婚なども敬遠される一因となることがあります。
またボーナスが無いことが多いため、正社員との収入の差も大きくなります。
スキルに繋がりにくい
派遣社員は、長くても、3年しか同じ企業、同じ部署で働けません。
3年間、同じ企業の同じ部署に勤めると、直接雇用される可能性も生まれますが、非常に低い確率です。
また、直接雇用に繋がっても、さらに不安定な契約社員やパート・アルバイトとなる可能性もあります。
派遣社員は、すぐに替えのきく、誰でもできる仕事が大半のため、将来に向けたスキルアップには繋がりません。
また、いくら大企業で就労していても、職務経歴には繋がりにくく、派遣社員を長くしていても、採用試験の時には評価されにくい場合が多いです。
派遣社員のメリット
自分の都合に合わせて就業場所や就業時期を決められる
派遣社員の最大のメリットは、自由度の高さです。
自分の就労したい時期や期間、場所などの条件を提示することで、条件に見合った仕事を見つけることができます。
また、期間が定められているため、人間関係に煩わされることが少なく、劣悪な環境の就労場所でも、期間が決まっていれば、耐えることもできます。
敷居が低く、間口が広い
派遣社員は、派遣会社に登録をすれば、驚くほど早く採用が決まります。
企業側と条件が合致すれば、すぐに働くことも可能です。
パート・アルバイトより時給が高い
派遣社員は、パートやアルバイトに比べると、時給が高い場合が多いです。
雇用の優先順位としては、コストが安く済むパート・アルバイトの方が上で、長く勤めることができますが、時給だけを見ると、同じくらいの勤務経験の人であれば、派遣社員の方が1~2割前後高いことが多いです。
まとめ
派遣社員は、正社員になるまでの繋ぎとしてなら、非常に良い制度です。
しかし、自由度が高く、自分の好きな仕事ができるからと派遣社員だけを長く続けていくと、年齢が高くなるにつれ、派遣社員以外の働き方が難しくなる場合もあります。
さらには、派遣先企業との条件も合わなくなることがあるため、派遣社員で働くのも難しいし、正社員として勤めるのも難しい、と二重苦の状況になる危険性もあります。
ただ、派遣社員は、人間関係に煩わされることもなく、プレッシャーの無い環境で働ける、また、パワハラなど、労働環境に問題がある会社なら、契約を更新せず円満に辞められるなどといったメリットもあります。
結局のところ、人生において、何に重きを置くかは人それぞれです。
ライフスタイルや人生に望むものにより、派遣社員という働き方が合っている人が多いのも現実です。
生き方は人それぞれですので、自分にあった働き方を探すことが何よりも一番大事だと思います。