現在の日本では、正社員、アルバイト、パート、派遣社員、請負業務、日雇い労働等々、仕事をする時には様々な雇用形態、もしくは、それに近い形の働き方が存在します。
まぁ、正社員については、ある程度イメージがつく人も多いでしょうが、派遣社員とパート、アルバイトの雇用形態の違いは、いまいちピンとこない人も多いかと思います。
そこで今回は、この派遣社員とアルバイト・パートの違いについて書いてみたいと思います。
また、結局のところ、「派遣社員とアルバイト・パートでは、どっちがいいのか?」ということについても、メリット・デメリット等をまとめましたので、ご覧ください。
派遣社員とアルバイト・パートの大きな違いとは?
派遣社員、アルバイト・パートともに「ライフスタイルに合わせて勤務できる」「希望の職種に就きやすい」という共通のメリットがあります。
しかし、どちらにも相応のデメリットがあり、一概に、どちらが良いとは言えません。
派遣社員は、派遣会社(派遣元企業という言い方もします)に登録し、派遣会社を通じて企業に勤務します。
勤務時間は労働条件にもよりますが、正社員と同じ勤務時間の場合が多いです。
一方、アルバイトやパート(基本的にアルバイトとパートは同じ雇用形態です)は、企業が直接雇用しますが、正規社員(正社員)よりも、短時間の勤務で働くことが多いです。
こういったことから、派遣社員の方が勤務時間が長い分、収入が高くなることが多いです。
しかし、アルバイトやパートは、収入は低くなりますが、時間的な拘束は短く、また、派遣社員よりは、比較的時間に融通が効く場合が多いです。
まぁ、ざっくりとした違いについてはこんなところですが、もう少し深堀りして、派遣社員、アルバイト・パート、それぞれのメリットとデメリット、雇用形態などを詳しく見てみましょう。
派遣社員とは?メリット・デメリットについて
派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結んでいる人のことを言います。
契約の形はそれぞれで、「特定労働者派遣」「一般労働者派遣」「紹介予定派遣」の三つに分かれます。
そして、この中で最も多い雇用契約は「一般労働者派遣」です。
一般労働者派遣は、派遣会社に常時雇用されない労働者のことをいい、派遣先との契約期間が過ぎると契約が解除される仕組みになります。
つまり、派遣会社においては、契約社員という位置付けになります。
希望の職種や条件に合う会社が見つかりやすいのですが、一方、契約期間が過ぎれば、派遣会社との契約が切れるため、仕事場が無い無給の状態になり、生活が安定しないといった問題点もあります。
派遣社員のメリット
登録者が多い一般派遣労働者の場合、最も大きいメリットとして、期間限定で働けるという点が挙げられます。
具体的には、派遣社員の場合、一般的に、3ヶ月更新での再契約期間があります。
仕事が合わない時、人間関係が複雑で辛い時など、契約の更新をしなければ、後腐れなく円満に仕事を辞めることができます。
まぁ、期限が決められていれば、どんなに最悪な職場でも耐えられるものですよね。
また、自分のライフスタイルに合わせた勤務もできます。
一日4時間、または6時間だけ働きたい、曜日を限定して働きたいなどといったことも、職種をそれほど選ばなければ、条件に見合った働き方が可能です。
また、転職する際の「つなぎの仕事」という意味でも、派遣社員という働き方は適しています。
一般的には、無職の期間が長くなれば長くなるほど、次の就職が難しくなることが多いからです。
やっぱり、雇う方からしても、資格の勉強や技術・知識の習得のために無職になっていたのなら理解できますが、ただ、新しい仕事先を探すためだけに、半年も1年も働かずにいるというのは、ちょっと疑問を感じてしまいますよね。
ですので、自分の条件にあった転職先が見つかるまでの生活の糧を得るために、また、無職の期間を短くするために、派遣社員という業務形態は適しています。
また、派遣社員は、アルバイト・パートよりも給料が高く、さらに、条件を満たしていれば、社会保険料も派遣会社が半額負担してくれるので、国民健康保険の高い保険料を払わなくても済みます。
もちろん、ルール上は、有給休暇も取得できるなど、最低限の福利厚生は保障されています。
そして、派遣社員が派遣される派遣先企業は、女性ならではの仕事も多く、女性にとっては利用しやすい雇用形態の一つです。
昨今は、社会への女性進出が叫ばれていますが、現実はそう甘くはありません。
女性は結婚、出産、育児など、男性に比べて人生の岐路で仕事を辞めるか否かの選択を迫られることも多く、また、配偶者が転勤の職種の場合には、職を辞するのは女性、ということが多くあります。
その点、派遣社員という働き方なら、結婚して妊娠するまでの間、転勤先での再就職など、時間や期限が決まっている場合にも対応した働き方ができやすいという利点があります。
派遣社員のデメリット
派遣という働き方の形態には、メリットも多く存在しますが、一方、デメリットも存在します。
まず、一番に挙げられるのは、やはり収入の不安定さです。
契約が終了すれば、どんなに居心地が良くて、そこでずっと働きたいと願っても叶えられません。
企業元の業績が悪くなった時、真っ先に切られるのは派遣社員です。
人件費削減が囁かれると、すぐに解雇される危険性があります。
また、間口が広く、敷居が高いということは「替えがすぐに効く」ということにもつながり、企業側が「NO」と言えば、契約更新が望めません。
つまり、派遣社員という立場は、社会的にも弱いと感じざるをえないことも多いです。
将来の見通しが立たないので、結婚に二の足を踏んだり、いざ正社員になるべく職探しを始めても、派遣社員しかやってこなかった場合には、それが足かせになったりしることもあるようです。
アルバイト・パートとは?メリット・デメリットについて
労働基準法で定められている「パートタイム労働者」とは「一週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比べて短い労働者」です。
世間一般では、「アルバイト」は学生を中心とした若い世代の学生やいわゆるフリーター等を指し、「パート」は主婦層、女性に多い、というイメージです。
アルバイトは、短期~中期での雇用が多く、繁忙期や土日祝日、夜間などに働ける人材が中心となり、接客などのマニュアル的な業務や、正社員とは異なる簡単な仕事内容も多いです。
一方、パートは、長期間の雇用で、1日あたりでは短時間で働く人材が多く、仕事も正社員と同じ場合も多く、求められる能力に差はありません。
しかし、パートは、あくまでも「正社員よりも短い労働時間で働く人」という位置付けですね。
世間や企業の考え方としては、パートとアルバイトでは、明確な違いがあるような印象ですが、法律上では違いがなく、どちらも「パートタイム労働者」として一括りにされていて、有給休暇や社会保険、労働関係の法律も、どちらも同じように適用されます。
アルバイトのメリット
アルバイト、パートの大きなメリットは、勤務日数や休日が、ある程度自由であるということです。
「子供が幼稚園に行っている10時から14時の平日に働きたい」「学校が終わった放課後に働きたい」「日曜や土曜、祝日に働きたい」等々、働き方にも色々なニーズがあり、それに合わせた働き方の選択がしやすいです。
また、自分の都合に合わせてシフトを組めるのも魅力的な点です。
周りの理解があれば、急な予定変更も可能で、家庭や趣味などを優先した働き方もできます。
働きたい時期と企業の繁忙期が一致すれば、その期間だけの就労も可能です。
また、アルバイトの登録会社では、1日だけの単発の仕事(日雇い労働)も存在するので、自分の働きたい日時に働けるといったこともできます。
そして、バイトやパートは正規雇用ではないため、副業や掛け持ちも可能です。
もちろん、会社との雇用契約を確認する必要がありますが、「今月はちょっと厳しい」という時に、単発のアルバイトや仕事帰りに「2時間だけ」という働き方もできます。
さらに、アルバイト、パートとも、様々な職種の求人があります。
「やってみたいけど、未経験」「自分にあっているか不安」という時には、まずは、アルバイトでその職種に飛び込んでもいいでしょう。
アルバイトやパートは非正規雇用ですので、気軽に応募しても採用される確率が高かったりもします。
アルバイトのデメリット
では、アルバイトとパートのデメリットは、どんなものがあるのでしょうか。
アルバイト、パートは、派遣社員と同じく、長期間にわたって安定した雇用契約は結んでいません。
つまり、派遣社員と同じく、企業が業績不振に落ちいった時に、真っ先に人件費削減の的にされるのは、身分が不安定な派遣社員やアルバイト、パートです。
長く同じ企業でパートとして働いていても、企業側の都合で、時間を短くされたり、勤務日数を減らされたりすることもあります。
また、正社員に比べて賃金は安い傾向にあり、それは、時給に換算して計算すると一目瞭然で、最低賃金に近い給与水準の場所も珍しくありません。
特に、地方部はそれが顕著で、社会的な信用も低く、雇用形態や勤務日数・時間によっては、社会保険や厚生年金などもかけられないので、クレジットやローンの審査に非常に不利になることもあります。
派遣社員とアルバイトのどっちがいいかは、人それぞれ(まとめ)
派遣社員とアルバイト・パート、どちらも「自分の生活スタイルに合わせて働ける」という最大のメリットがあります。
趣味を優先させたい、学業や家庭を第一に考えたいという場合、正社員では企業に対しての責任が強いため仕事が優先されて、その実現は難しい場合が多いです。
しかし、派遣社員やアルバイト、パートであれば、まず自分の条件を提示して、それを了承してもらった上で働くので、優先事項の一番が「会社」である必要はありません。
「社会との繋がりが欲しい」「社会勉強のために色々な世界を見てみたい」「叶えたい夢がある」等々、そんな時に、これらの働き方は適していて魅力的です。
その反面、賃金が安い、社会的な信用が低い、長期にわたっての安定した収入が見込まれないなどのデメリットもあります。
もちろん、契約社員や正社員にもメリット・デメリットがあり、一概に「どの働き方が良い」とは言えません。
人それぞれの事情もあります。
つまり、どれを優先するかを決めるのは自分自身ですし、最も良い働き方は、「自分にとって一番大切ものを優先できる働き方」です。
もちろん、収入や福利厚生など、検討することはたくさんあり、優先したいことが二の次になることもあります。
それでも、最大限、大切なものの優先度を高めていけるような働き方ができるよう、自分にあった働き方を見つけれるようにしたいものです。